
日時:3月15日(月) 20:35~21:00 (18:30~上映終了後)
場所:アスミック・エース試写室
ゲスト:三木孝浩監督、ヴィレッジヴァンガードONLINE”中の人”
司会:森直人(映画ライター)
司会
一言ずつご挨拶をお願いします。
三木監督
今回ソラニンを監督させていただきました、三木です。
みなさん鑑賞後ほやほやということで、いろんな感想を聞きたいと思っています。
今日はどうぞよろしくお願いします
ヴィレッジヴァンガード ONLINE”中の人”(以下、V.V.中本恵二)
今回この試写会を主催しているヴィレッジヴァンガードONLINE”中の人”です。
どうぞよろしくお願いします。
司会
(中本さんは)今ご覧になってたんですよね?
V.V.中本恵二
はい、今日初めて観て、今もうるうるしています。感動さめやらぬ感じです。
印象に残ったのは、ラストのライブシーン。
宮崎あおいさんがギターを弾いている時の真剣な表情は、演技を超えてかなり(役に)入っているなと。
原作にかなり忠実で、なおかつ映画ならではのオリジナルエピソードもあって、原作を読んでいる人もそこを比較しながら楽しめるんじゃないかなと思いました。
司会
絶賛じゃないですか(笑)
V.V.中本恵二
一言でいえば、「観てよかったな」と(笑)
司会
最初に漫画「ソラニン」を読まれた時の感想はいかがでしたか?
三木監督
もともと、映画化の話を頂く前から、浅野先生の作品は大好きで。
たまたまソラニンだけ読んでなかったんです。
読んでみたら、まさしく自分がやってきた音楽というフィールドに近い、バンドをする若者たちのお話で、「ぜひやりたい」と思って引き受けました。
音楽をテーマにしつつも、「夢を持っているんだけど、まっすぐにつきすすめないモヤモヤ感・冷めている感じ・想いと戦っている感じ」にすごく共感出来たし、面白いと思いました。
司会
原作は2005年で、4~5年のタイムラグがあってからの映画化。何か意識されたことは?
三木監督
連載当時の2005年は、まだ今より経済状況もよく、希望が少なからずあった頃の話だったと思います。
今回、2010年に映画化するにあたって、セリフは今の時代に合うようにフィットさせたり、少しずつですが意識して変化を持たせようと気を付けました。
V.V.中本恵二
連載当時、ヴィレッジヴァンガードの実店舗で働いていたのですが、同僚と「浅野いにおの新刊よんだ?」とよく話していました。
「ソラニン」の単行本が出た頃はまだ読んでいなかったんですが、バイトの子が「すごく面白い!」と嬉々として話してくれて。
(途中で種田が死んでしまうと)読む前にネタバレもされてしまっだんですけど(笑)、読んだら本当に面白くて。「なかなか無いお話だなー」と思いました。
主役が話の中盤で死んでしまう。こういうお話はなかなか無いと思って、売る側としても「売ってやろう!」と思いました。
当時、かなり押して、やはりお客さんの反応も良くて売れていきました。
司会
「ソラニン」すごいヴィレッジヴァンガードで売れているんですよね。
原作を読んでいる人いらっしゃいますか?→挙手(7割程度)
読んでいない方、マンガもいいので是非買ってください(笑)
三木監督
自分が初めて浅野いにお作品を買ったのも、ヴィレッジヴァンガード下北沢店なんです。
「素晴らしい世界」のジャケットに惹かれて買いました。
司会
自分が当時読んだとき、時代性をすごく感じたんです。
でも、「今この時代の中から生まれたもの」ではありつつ、それ以降も確かな共感を呼ぶスタンダードな、根付くような時代性・普遍性を感じるのですが、どう思われますか?
三木監督
世代でいうと、僕は浅野さんより少し上の世代。主人公たちの悩みごと(将来への不安など)は、きっと何十年も年上の人からすると、「何言ってんの」というような大したことのないテーマかもしれないです。
けど、自分にとっては「生きるか死ぬか」の事態(恋愛や将来など)って誰しも経験していることだと思うし、だから世代を超えて共感されているんじゃないかなと思います。
司会
自分は、浅野さんの漫画を初めて読んだとき、(90年代に活躍された)よしもとよしともさん(「青い車」など)の世界観を前例として思い浮かべたんですが、でも明確に違う何かを感じたんです。
90年代は、もっと観念的な悩みだったけど、ソラニンはもっと現実的でヒリヒリした感じが迫ってきて、面白いと思ったんですがー。
三木監督
確かに、あの頃(90年代後半)は斜に構える感じでも、なんか根本は明るいというか、もう少しのんきな感じはしました。ソラニンのシビアな感じ、たとえば貯金残高が無くなったり、タイムリミットが差し迫っていく感じはこの世代ならではなのかもしれないですね。
司会
更に上の世代(40代以上)になっていくと、「この位のことで悩んで、甘えている」と意見もどんどん分かれてくるようですがー。
三木監督
種田や芽衣子の悩み方って、きっと僕らの世代以降の悩み方だと思うんです。
自分の出来る幅が見えてしまうというか、設定出来てしまう。
V.V. 中本恵二
確かに、映画の中で初めてギターを弾いた少年みたいに、「世界が開けたような気がした」感覚を得る機会が、どんどん少なくなってきているように思うんです。
今は、ネットで検索すればなんでも見れてしまう時代。
自分で発見してそれに感動するような機会が本当に少ないと思います。
三木監督
なんとなく先が見えるのに、それを超えるために戦っていかないといけない。
だから逆に自分より上の世代の人たちって、先が見えないからこそ、明るい希望を持って前に進められたんじゃないかなと思います。
僕は徳島の田舎育ちで、高校時代に「映画監督を目指すよ」と周りに話して、なんとなくビデオを回して作った映像を見て「これは傑作なんじゃないか!」と幻想をしたりして、でもそれがモチベーションにもつながっていた。
今は、曲を作ればすぐにマイスペースに上げられて、同時に世間にも評価されてしまう。
それこそプロのレベル、世界レベルに一気に立たされて、自分のレベルにもある程度の想定がついてしまいますよね。
司会
種田がポキッと折れる感じ、不安で現実につぶされていく感じはリアル。
幻想が持ちにくくて、才能でも、「自分はこれくらいのレベルの演奏で、曲はこのくらいのレベル」という幅を想定しやすい。
だから、自由より不安が先立つんでしょうね。
司会
ヴィレッジヴァンガードのお客さんは、今日お集まりの方々を見てもそうですが、若い人が多いですよね。
V.V.中本恵二
今は全国に300店舗以上あり、物心ついたころからお父さんに連れられてヴィレッジヴァンガードに通っている方も多いです。
ヴィレヴァン触れ始めるタイミングは10代が多いと思います。
そういった方の中にはちょっとした憧れと安い時給に悩みつつ、アルバイトを始めてくれる方も結構いらっしゃいます(笑)
今日もヴィレッジヴァンガードで働く予備軍的な人も来ているかもしれないですね(笑)
~お客さんとの質疑応答~
三木監督
ソラニンを今の大学生たちがみて、どう思うのか、どんな感覚なんでしょうか?
男性(大学4年生)
原作の種田たちが夢と現実でもがく感じにすごく共感しました。
僕はもう決まった道があって、その道に進むためには国家試験もあったりと大変で、最近悩むことも多かったんですが、ちょうどその時「ソラニン」が周りで流行って、「感動した」と言ってる人も沢山いました。
女性(社会人)
自分は結構な大人なんですけど、一歩進んで二歩下がっていく、もがきながら進んでいく感じは、すごく共感出来て、感動しました。
司会
最後に、これから監督として、ヴィレッジヴァンガード店長として、若い人に向けて発信するにあたって、どういうアプローチで行くのかなど、個人的な抱負をお願いします。
V.V.中本恵二
今日みたいに試写会をONLINEの一店舗として実施するのもそうですが、マンガ家さんを招いたイベントなど、こういったお客さんも交えてのイベントも継続してやっていきたいです。
三木監督
もともとマンガが好きで、若い作家さんでも面白いマンガを書いているなと思う人がいっぱいいます。
そういう人ともやってみたいし、浅野先生の別作品もやってみたいですね。
「世界の終りと夜明け前」が大好きなので是非映像化したいです。
登壇者プロフィール
三木孝浩(映画『ソラニン』監督)
1974年、徳島県生まれ。98年にソニー・ミュージック入社以降、数多くのPV・ライブ映像を手掛ける。
ビバッチェ「紅茶の恋」のPVでは、少女たちの揺れる心と切ない空気感を繊細に映し出し、一方、YUI「Rolling star」などでは、斬新な演奏シーンで溢れる躍動感を表現。
繊細さとダイナミズムを兼ね備える確かな演出力は、現在の音楽シーンにおいて高い評価を得ている。
06年に独立し、PV以外にも、ショートフィルム「It’s so quiet.」やWOWOWショートドラマ「藤子・F・不二雄のパラレル・スペース」、CMなども手掛けている。
MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2005/最優秀ビデオ賞や、カンヌ国際広告祭2009/メディア部門金賞を受賞するなど、実力も認められており、今後の活躍が注目されるディレクターのひとりである。
中本恵二(ヴィレッジヴァンガードONLINE”中の人”)
経歴:ヴィレッジヴァンガードプランタンなんば店(大阪)3年→ルシアス店(大阪)2年→ラフォーレ松山店(愛媛県)1年→川西モザイクボックス店(兵庫県)2年→オンライン事業部(愛知県)5年
肩書:ヴィレッジヴァンガード ONLINE事業部長
司会:森直人
1971年8月22日和歌山県和歌山市生まれ。映画批評/雑文業。
近畿大学文芸学部卒業後、数年のニート生活を経て上京。
編著に『21世紀シネマX』 『日本発映画ゼロ世代』(フィルムアート社)、共著に『面白いDVDの本』(太田出版)『ミニシアター・ガイド』(エスクァイア・マガジン・ジャパン)など。
ほか、「QJ」「メンズノンノ」などで活躍し若者から圧倒的支持をもつ。
出演:宮崎あおい/高良健吾/桐谷健太/近藤洋一(サンボマスター)/伊藤歩/ARATA/永山絢斗/岩田さゆり/美保純/財津和夫
原作:浅野いにお『ソラニン』(小学館ヤングサンデーコミックス刊)
脚本:高橋泉
撮影:近藤龍人
音楽:ent
配給:アスミック・エース

