『映画館大賞2010』結果発表

2010年3月16日 火曜日

『映画館大賞2010』結果発表
『映画館大賞2010』の結果が発表された。
今年で二回目の映画館大賞では、2008年12月から2009年11月末日までの公開作品を対象に全国の150館の独立系映画館が投票に参加、ベストテンが決定した。
特別部門の「あの人の1本」は、映画監督の阪本順治さん、女優の中谷美紀さん、俳優の竹中直人さんが参加。特集上映・リバイバル上映された旧作のうち最も鮮やかに蘇った1作を決める「蘇る名画」は、映画評論家の山根貞男さんをゲスト選定者に迎えた。

映画館大賞2010ベストテン作品 (以下20位まで)

1位

グラン・トリノ
(C)2009 Warner Bros. Entertainment Inc. and Village Roadshow Films (BVI) Limited. All Rights Reserved
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド/ビー・バン/アーニー・ハー/クリストファー・カーリー
製作:クリント・イーストウッド/ロバート・ローレンツ/ビル・ガーバー
脚本:ニック・シェンク
撮影:トム・スターン
美術:ジェイムズ・J・ムラカミ
音楽:カイル・イーストウッド/マイケル・スティーブンス
衣装:デボラ・ホッパー
配給:ワーナー・ブラザース映画

2位

ディア・ドクター
(C)2009『Dear Doctor』製作委員会
監督・脚本:西川美和
出演:笑福亭鶴瓶/瑛太/余貴美子/井川遥/松重豊/岩松了/笹野高史/中村勘三郎/香川照之/八千草薫
撮影:柳島克己
照明:尾下栄治
美術:三ツ松けいこ
音楽:モアリズム
衣装:黒澤和子
配給:エンジンフイルム/アスミック・エース:

3位

マイケル・ジャクソン THIS IS IT
監督:ケニー・オルテガ
出演:マイケル・ジャクソン

プロデューサー:ランディ・フィリップス
音楽:マイケル・ビアーデン
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

4位

愛のむきだし
(C)「愛のむきだし」フィルムパートナーズ
監督・脚本:園子温
出演:西島隆弘/満島ひかり/安藤サクラ/尾上寛之/清水優/永岡佑/広澤草/玄覺悠子/中村麻美/渡辺真起子/渡部篤郎
撮影:谷川創平
照明:金子康博
美術:松塚隆史
音楽:原田智英
主題歌・挿入歌:ゆらゆら帝国(ソニー・ミュージック アソシエイテッド レコーズ)
配給:ファントム・フィルム

5位

剱岳 点の記
(C)2009『劔岳 点の記』製作委員会
監督:木村大作
出演:浅野忠信/香川照之/松田龍平/宮崎あおい/仲村トオル/役所広司

原作:新田次郎「劔岳 点の記」(文春文庫刊)
脚本:木村大作/菊池淳夫/宮村敏正
配給:東映

6位

サマーウォーズ
(C)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS
監督:細田守
声の出演:神木隆之介/桜庭ななみ/谷村美月/仲里依紗/富司純子
脚本:奥寺佐渡子
音楽:松本晃彦
配給:ワーナー・ブラザース映画

7位

母なる証明
(C)2009 CJ ENTERTAINMENT INC. & BARUNSON CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
監督:ポン・ジュノ
出演:キム・ヘジャ/ウォンビン/チン・グ/ユン・ジェムン/チョン・ミソン

プロデューサー:ソウ・ウォシク/パク・テジョン
脚本:パク・ウンギョ/ポン・ジュノ
撮影:ホン・クンピョ
美術:リュ・ソンヒ
音楽:イ・ビョンウ
衣装:チェ・ソヨン
配給:ビターズ・エンド

8位

スラムドッグ$ミリオネア
(C)2008 Celador Films and Channel 4 Television Corporation
監督:ダニー・ボイル
出演:デーヴ・パテル/アニル・カプール/イルファーン・カーン/マドゥル・ミッタル/フリーダ・ピント
製作:クリスチャン・コルソン
脚本:サイモン・ビューフォイ
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
美術:マーク・ディグビー
音楽:A・R・ラフマーン
衣装:スティラット・アン・ラーラーブ
配給:ギャガ・コミュニケーションズ

9位

イングロリアス・バスターズ
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
出演:ブラッド・ピット/メラニー・ロラン/クリストフ・ヴァルツ/ダニエル・ブリュール/イーライ・ロス/ダイアン・クルーガー/ジュリー・ドレフュス/ロッド・テイラー/マイク・マイヤーズ
製作:ローレンス・ベンダー
撮影:ロバート・リチャードソン
美術:デヴィッド・ワスコ
衣装:アンナ・B・シェパード
配給:東宝東和

10位

沈まぬ太陽
(C)2009「沈まぬ太陽」製作委員会
監督:若松節朗
出演:渡辺謙/三浦友和/松雪泰子/鈴木京香/石坂浩二

原作:山崎豊子「沈まぬ太陽」(新潮文庫刊)
配給:東宝

11位 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
12位 空気人形
13位 南極料理人
14位 チェンジリング
15位 レッドクリフ PartII―未来への最終決戦―
16位 レスラー
17位 ウルトラミラクルラブストーリー
18位 ROOKIES-卒業-
19位 チェイサー
20位 マンマ・ミーア!

特別部門

「あの人の1本」 3名の著名人が選ぶ、2009年に最も印象に残った1本

阪本順治さん(映画監督)

ポチの告白
監督・脚本:高橋玄
出演:菅田俊/野村宏伸/川本淳市/井上晴美/井田國彦/出光元/水上竜士/宮本大誠/風祭ゆき/ガンビーノ小林/木下順介/山下真広
製作:田村正蔵/高橋玄
撮影:石倉隆二/飯岡聖英
照明:小川満
美術:石毛朗
音楽:高井ウララ/村上純/小倉直人
配給:アルゴピクチャーズ

骨もあり、
肉もあり、
意志もある。
声もあり、
匂いあり、
姿(菅田)あり!

中谷美紀さん(女優)

アンヴィル!
監督:サーシャ・ガバシ
出演:スティーヴ“リップス”クドロー(ANVIL)/ロブ・ライナー(ANVIL)/ラーズ・ウルリッヒ(メタリカ)/レミー(Motorhead)/スラッシュ(ガンズ&ローゼス)

プロデューサー:レベッカ・イェルダム
撮影:クリス・スース
配給:アップリンク

「夢を叶えるには人生は短すぎる。しかし、夢を諦めるには人生は長すぎる」と、ある監督は言いましたが、この作品はまさにそんな映画でした。ヘヴィーメタルなんて全く好きではありませんでしたし、始まって5分程で劇場を出ようか否か迷ったほど、退廃的で過剰なパフォーマンスに嫌悪感を抱いていたにもかかわらず、いつの間にか中年男たちが必死で夢を追いかけ生きる姿に引き込まれ、最後にはポケットティッシュを使いきってしまいました。

竹中直人さん(俳優)

永遠のこどもたち
(C)Rodar y Rodar Cine y Television, S.L / Telecinco Cinema, S.A., 2006
監督:J.A.バヨナ
出演:ベレン・ルエダ/フェルナンド・カヨ/ロジェ・プリンセプ/マベル・リベラ/モンセラット・カルージャ/アンドレス・ヘルトルディス/エドガー・ビバル/ジェラルディン・チャップリン

プロデューサー:ギレルモ・デル・トロ
脚本:セルヒオ・G・サンチェス
美術:ジョセップ・ロセル
音楽:フェルナンド・ベラスケス
衣装:マリア・レイジェス
配給:シネカノン

2009の映画はスペイン、メキシコの合作、そしてギレルモ・デル・トロプレゼンツ、J・A・バヨナ監督『永遠のこどもたち』だ。『パンズ・ラビリンス』を観てデル・トロの大ファンになったぼくだけど、まずはタイトルとポスターに惹かれ「ちょっとホラーぽいのかな…?」なんて思いだけでなんの情報もキャッチせず銀座にある劇場に足を運んだ。そして映画が始まってすぐ、スクリーンに映し出される映像の美しさにぐいぐい引き込まれて行ったのだ。怖い、間違いなくめちゃくちゃ怖い…しかしそれだけではない。ぼくは結果「この映画は絶対、観なきゃダメだっ!」なんて言いながら友人を連れ、三度も劇場に足を運んでしまった! キャストひとりひとりのお芝居が素晴らしい! そしてバヨナ監督の紡ぎ出す映像の美しさ、ロケーションの素晴らしさ! 物語の基本は行方不明になった7歳の息子を探す母の物語である。その母親役を演じるベレン・ルエダという女優の演技が見事だ! 美しく、しっかりとした佇まい、そして彼女の力強い眼差し! 母なる愛! ベレン・ルエダがあってこそこの映画はよりパワーに満ち、愛に溢れる。霊媒師役で登場するジェラルディン・チャップリンのリアリティ溢れる見事な演技! これはすごい! もうハラハラドキドキ! しかし、最後には涙が溢れ止まらなかった! なんと愛に満ちた映画だったろう! 何度でも観たくなる映画だ! J・A・バヨナ素晴らしい監督と出会えて本当にぼくはうれしい!

「蘇る名画」

『かも』ニュープリント(‘65年) 関川秀雄監督 「緑魔子伝説」(2009年5月2日~22日 シネマヴェーラ渋谷)より

選定者/山根貞男さん(映画評論家)
2009年に緑魔子の特集を組むこと自体が注目に値しますが、それが同じ年のシネマヴェーラの1月の特集「森崎東の現在」から発想された企画だという、プログラムの連続性がさらに面白い。「森崎東の現在」が館主本人も驚くほどのヒットを記録したことで、上映作品18本中4本に出演していた緑魔子に注目が集まり、ご本人のトークの回は入りきれない観客が多数いて、その盛り上がりが緑魔子特集へ発展していったのです。名画座プログラムの組み方は様々で、どれが正解だとはいえませんが、ヒットした番組から新たなプログラムを作り出すなんて素晴らしいあり方だと思います。

デビュー作『二匹の牝犬』(64/渡辺祐介監督)、『非行少女ヨーコ』(66/降旗康男監督)、『御用牙 鬼の半蔵やわ肌小判』(74/井上芳夫監督)など、なかなか見られない作品が並ぶ「緑魔子伝説」の中で、特にあらためて見てほしい1本として、『かも』を選びました。『かも』は、『ひも』『いろ』『ダニ』に続く、梅宮辰夫扮する色悪がホステスや家出娘を喰いものにする「2文字シリーズ」(「夜の青春シリーズ」ともいいました)の4作目で、封切り時は高倉健の人気シリーズ『昭和残侠伝』1作目の併映作品でした。高倉健や鶴田浩二主演のストイックな任侠映画にくっつける裏番組として作られていた、東映のいわば「エロ売り路線」の1本です。表の作品がカラー作品であるのに対し、裏の「2文字シリーズ」はモノクロと、興行上は添えものとして扱われていたわけで、その組み合わせが当時の東映映画の魅力になり、裏番組目当ての観客もけっこう多かったと思います。プログラムピクチャー量産体制のもとで、このような一見「不健全」で実は「純情」な映画が次々に作られ、人気を博していた60年代日本映画界の活力を感じてください。(山根貞男さん談)

映画館大賞2010ベストテン総評 ~2009年を彩った映画たち~

映画館大賞2010は150館もの全国の独立系映画館からご投票を頂きました。映画館スタッフが選ぶ「スクリーンで観てもらいたい映画」ベストテンは2009年を代表する作品が並ぶ堂々たるラインナップになりました。投票を集計していて『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』に対する劇場スタッフからの熱いコメントがまず目に入ってきました。上映時の劇場の一体感、上映終了後に巻き起こる拍手などなど、他の作品ではあり得ないお客さんからの率直な反応が多かったようで、特に若い劇場スタッフから感動の嵐。ある劇場では熱烈なファンの方がなんと60回以上ご覧になられていた!というコメントもありました。
上位作品の内容に目を向けてみると、2000年代が終わる節目の年に「引き継ぐ」「継承する」側面をもった作品が多く、まるで映画がこの時代へ応答しているかのようです。『グラン・トリノ』は、身内にも頑な態度を一切崩そうとしなかった白人の老人が、ほとんど差別の対象にさえ思っていたアジア系の少年に自分自身を「譲り渡す」映画でした。『ディア・ドクター』はニセ医者がつとめていた村医者の仕事を、縁もゆかりもない駆け出しの医者が―結局二人の意志の疎通はうまくいかなかったけれども―「引き継ぐ」ことになります。『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』では、世界中から集められた若い優秀なダンサーたちやライブのスタッフたちに、最高のパフォーマンスを、そしてそれを生む為のスピリットを「伝えよう」とします。
観た人の支持が厚く劇場スタッフにも強く印象を残す作品には、映画館でしか味わえない瞬間を作品の中から見つけることが出来ます。それは必ずしもクライマックスのシーンとは限らず、案外物語とは関係のない瞬間だったりします。例えば、しかめっ面の老人の唸り声、白衣を羽織って自転車でふらり夜道を走る後ろ姿、名前も知らない無数のバックダンサーたちの鮮やかな身振り。そういった何でもない一瞬は劇場でなければ見逃してしまう気がします。観た人それぞれにとって大事な瞬間、自分だけの映画のワンカットが記憶に焼き付いてしまうことこそが、スクリーンで映画を楽しむ醍醐味ではないでしょうか。『愛のむきだし』は、一度観たら忘れられない、まさにスクリーンでしか味わえない瞬間ばかりをこれでもかと詰め込んで4時間圧倒してくれました。
映画館大賞が、かけがえのない映画の自分だけの最高の一瞬に一人でも多くの方に映画館で出会ってもらうきっかけになれば幸いです。

映画館大賞実行委員会から
映画を送り届ける側の「先端」に位置する映画館スタッフの生の声を届けたい。それはきっとどんな雑誌やウェブサイトが発信する情報よりも信頼できるはず。映画ファンと映画の送り手の橋渡しになること、そんなことを夢見ながら、映画館大賞は発進しました。映画館と映画を観るために劇場に足を運ぶ人の刺激的な関係を、これからも変わらず応援していきたい。そんな思いから映画館大賞は生まれました。

関連イベント

4月17日(土)~24日(土) シネマヴェーラにて、上位作品と各部門のセレクションの特集上映を各日ゲストを迎えて開催!
4月17日(土) 『グラン・トリノ』
4月18日(日) 『ディア・ドクター』
4月20日(火) 『愛のむきだし』
4月21日(水) 『母なる証明』
4月22日(木) 『ポチの告白』
4月23日(金) 『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』
4月24日(土) 『かも』

主催/映画館大賞実行委員会
*プログラムは変更になることもあります。ゲストはただいま選定中です。

映画館大賞とは

日本全国の街角で365日観客に映画を届ける映画館スタッフが選ぶ、日本で初めての映画賞。2009年に封切られた作品の中から、洋画/邦画、メジャー/インディペンデント、自館での上映の有/無の区別なく、純粋に「映画ファンにスクリーンで観てもらいたい」作品を、情熱とこだわりを持って映画をセレクト・上映している映画のソムリエたちが、選ぶ。

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